埼玉新聞連載2回目です

8/22(土)の埼玉新聞に連載記事(3回連載)の2回目が掲載されています!
今回は、準備期間のあれこれについて紹介いたしました。

タテノイトの「今」と「これから」につながる出会いとインプットがものすごく多くて、全くここには書き切れませんでした。

お世話になったみなさまには本当に感謝しています。

写真はタテノイトの改築ビフォー/アフターです。

以下、全文を転載します。
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地球惑星科学の研究者であった私たちが保育園を開園するまでの約2年間の準備期間について触れたいと思います。まず研究の傍ら、保育士試験を受験し国家資格を取得することから始めました。これと並行し、私たちが「森のようちえん」という保育スタイルに出会う契機になった友人が主宰する園の研修生として活動に参加し、実践経験を積みました。ただでさえ安全への配慮に神経を使う野外活動において、子どもの行動とその背景にある心の動きを的確に捉えて働きかける専門性の高さを目の当たりにし、学びの連続でした。

私たちは自然観察を通し好奇心が刺激される体験を大切にしているため、事業拠点には豊かな自然環境が必須でした。そこで選んだのは、ここ、秩父郡横瀬町です。それまでに、馴染みのない土地での子育て、単身赴任によるワンオペ育児、夫婦共に長距離通勤をしながらの子育てを経て、心身ともに消耗していました。このため、実家の協力を得られる、というのが故郷である横瀬町に決めた理由の一つでした。横瀬町は「日本一チャレンジする町」です。移住者も関係人口も多く、多様な背景を持つたくさんの方々が活躍しています。新たなチャレンジに取り組む人達を歓迎する雰囲気にあふれ、私たちの事業についても町長はじめ町のみなさんが良き理解者です。また強力な人の繋がりのおかげで事業準備は予想より円滑に進みました。そして、園舎として利用するため、両親が営んでいた築40年以上の元機械工場を改築しました。建築設計は20年来の知己を頼り、私たちの教育思想を十分に理解してもらった上で議論を重ねました。得られたアイディアがまるで魔法のように図面上に展開されていき、着工後はさらにこれが三次元化されていく過程に心が躍りました。

多様な背景を持つ大人が教育に携わることは極めて重要と認識していながらも、私たちの今までの経歴はアカデミックな世界に限定されていました。しかし準備期間中に多様な人々と多様な職業と巡り会うことができたことは、少なからず私たちの視野を広げてくれました。さらに、保育や教育に関わる最新の情報と知見を収集するために参加した講演会やセミナーでは、他業種を経て保育・教育業界に身を置く方々と数多く出会いました。彼らとの議論の中で、他業種を経験したからこその視点による問題意識、そして教育観を共有することができ、保育や教育に携わる上で大局観と多角的視点を持ち合わせることの大切さを確信するに至りました。こうして出会いに恵まれた準備期間は、大変実り多き時間となりました。